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2019年03月01日 18時00分

『野球は究極の個人技』自分で考えてやることで上達スピードは格段に上がる!「プレイヤーズファーストを考える指導者交流会 対談レポート<前編>

2019年1月に「プレイヤーズファースト」を生み出す指導とは?vol.2『選手の能力を最大限に出す方法』が開催された。このセミナーは「プレイヤーズファースト」を掲げる清水隆一さんと、ゲストによる対談形式で、選手ありきの指導とは何かを参加者と一緒に考える指導者交流会である。

清水さんは「プレーヤーが指導者の言いなり」になっていないかと語っており、多くの指導者が、プレーヤーに考えさせられることができない、あるいは教えないと気が済まない、というのが実態だと危惧している。プレーヤー目線に立って、教え過ぎず、自分で考え、解決し、成功に導けるよう携わることが、指導者のあるべき姿ではないのでしょうか?

今回は清水氏の教え子で、横浜ベイスターズで活躍し、現在は中日ドラゴンズでコーチを務める波留敏夫さんを迎え開催。子どもたちのより良い未来のために【『プレイヤーズファースト』を生み出す指導】について一緒に議論が繰り広げられました。今回、そのトークの一部を抜粋して紹介します。

清水)みなさん、こんばんは。清水です。今回のゲストは中日ドラゴンズでコーチを務める波留敏夫さんです。彼とは熊谷組で一緒にプレーをした後、私が監督時代も所属してましたね。波留さんは、高卒で熊谷組にプロを目指して入ってきたのでだいたい3年でプロになりますが、全日本合宿で肩を脱臼したことで2年間野球が出来ず、5年間掛かってプロになりましたね。ちなみに、その当時の私の印象は?

波留)変わっている方だなと。(笑)熊谷組は強かったが練習しないなと思っていて、プロを目指す上でこの環境はマズイなと感じていました。清水さんからは、野球ではない所で人としてこうではないか、こういう考えはどうかと教えてくれた部分が人と違うという印象を持ちましたね。

清水)熊谷組が練習時間が短いのは飯田橋に寮があり、東久留米にグラウンドがあったことで、片道バスで1時間だったので20kmくらい距離があったためなんですよね。グラウンドには2~3時間しかいなかったので、何か工夫したこととか選手自身で自主的にやったのが強さの秘訣ではないかと思いますが、いかがでしょうか?

波留)時間がない中で個人的には色々考えてやっていましたね。清水さんが監督になってからさらに野放しになり、より自分で考えてやりなさいという方針に強く変わったのを覚えてます。これまでの野球では考えられないやり方で、やられて変わっている方だなと正直思いました。その教えが今のコーチとしての道標になっていると思います。

清水)今回のテーマが「選手の能力を最大限に出す方法」なんだけど、元々は今のスポーツ界ではプレイヤーズファーストではなく、指導者が主体的になってしまい、指導者が勝つことを目的に選手たちがやらされて嫌で辞めていくっていうのが結構いると思うんだけど、熊谷組はプレイヤーズファーストだったと思いますか?

波留)特に清水さんの時はそう感じましたね。どんな時かというと、練習内容からですね。水曜日は全体練習をしますので、そこに合わせてしっかり練習してください。というスタンスだったので、それ以外は自分たちで考えて練習していました。結果を残さないと使ってもらえないので、やらされる練習ではなく、やる練習という事に気付かせていただいたのが清水さんでした。

清水)なるほどね。では、中学校、高校はどうだった?

波留)中学校は特にやらされる練習の方が圧倒的に多かったですね。高校は教育者としての厳しさがある監督で、挨拶など生活面で特に厳しく指導されていました。プロになる為にはどうするべきかというのを考えさせられたのは清水さんの元に来てからでした。

清水)私が監督就任したのは平成3年の12月で、その時に『野球は究極な個人技だから自分たちが上手くならないと強くならない』と選手たちに伝えました。そして、2月1日に紅白戦をやると伝えた以降何もしなかったのは覚えていますか?また、その時はどういう感じだった?

 

波留)覚えています。プロに行きたかったので、そこを目指してやるしかないなと思いました。普通そんなこと言う人はいなかったので、ベテラン選手などはフリーズしていたし、不平不満も出てきていたが、僕は逆にやるべきことが明確に分かったので逆算して動ける力が付いたと思っています。

清水)実際問題、選手ががどのくらいの力でやるのかは見ないとわからないんだよね。それを見る期間として約1か月取りました。それが観察力に繋がっていてコーチングで一番大事な部分になるんです。例えば、波留さんだったらプロを目指していて、内野をやっていたので、あれこれやらなければならない。という工夫がみられたけど、分からない他の人は右往左往してましたよね。そいうのが後々、都市対抗で采配を振るう際に、私は指導者として重要だったと思っているが、今はプロを指導する立場としてどうですか?

波留)13年目になってその感じは分かるようになってきました。1年目とかは自分の経験でしか教えられなかったが、その中で合わない選手も居た。そういう事が分かってきて、観察する力が付きましたね。見ていて向こうから質問してきた時に端的に答えを出してやるのがコーチだと。

清水)端的な答えというのは、聞かれたら出す答えなのか、気付いたら教えるのか。どっちだと思っていますか?

波留)気付いたことはすぐに伝えたいんですけど、我慢して聞かれたら答えるようにしてます。

清水)それは何故?

波留)教えすぎないということです。教えすぎて失敗もしてきた。

清水)教えすぎるというのは、自分がこの選手にこうなって欲しいという思いの強さの余り、押し付けちゃうということですか?

波留)そうだったと思います。若いときは自分がやってきた経験しか教えられなくて。俺はこうやってきたからこうだ!というと合う合わないが結構ありました。でも、ここ最近観察するようになって、それが分かるようになってきました。

清水)そうすると、色々選手の私生活を見ていて、性格も分かるようになってきますよね。また、そういうのを見て気付き会話して、アプローチの仕方を考える。自分がなってほしい姿があり、そこに持っていくためにどうしようかと考えていくんですよね。

波留)確かに、性格はとても大事です。清水さんが監督時代にやっていたことがやっと分かりました。変人ではなく天才だったと。(笑)それくらい画期的で、自分の道標になるくらい衝撃的でしたね。

清水)選手たちに火を灯すのがコーチの役割だとすると、性格を見分けるというのはコーチングの肝であり、肝の部分がプレイヤーを尊重しているという意味では、プレイヤーズファースト・アスリートファーストなのかなと。

波留)確かにそう思いますね。一緒にビデオを見て、例えばバッティングの分析をするときに『明日はこうしてみよう』という会話を試合後にする。選手には『どうでしたか?』と聞かれるのではなく、『こうだったと思うのですが、どうですか?』と発信させるように指摘していますね。

 

清水)要するに自分の感じている事や考えを言語化させるということで、そこに責任を持たすということ?

波留)そうです。プロに入ってくる人は天才か変人しかいないです(笑)、変人タイプの人はいつも間にか凡人になっていて、天才になろうとした瞬間に、自分の栄華も消えてしまう。天才はどうするかというと、何故この世界に入ってきたのか考え、良い所を見つめ直し伸ばす練習を自ら取り組んでいく。

清水)なるほど。そういえば先日、王さんにお会いしましたが同じことを言っていました。「例えば、悪い所を直そうと思っても100年掛かっても治らないが、良い所はどんどん伸ばせと伝えたら元気に練習するよね」と。また、コーチは良かれと思いアドバイスするが、時と場合によってはそれが邪魔になる可能性もあるよね。

波留)あります。自分でやりたいことがやれなくなる。休んだらいけないという風習があるが何故なのか?と思いますね。休みは絶対大事だと思うんです。ただ、プロは結果が全てなので、負けて練習しないと叩かれる。休みの時に自分でする練習とやらされる練習では効果が違い、絶対的に前者の方が良いですよね。

<後編につづく>

<【3月13日(水)】元プロ野球選手が語る『野球センスを向上させるヒントとは?』 Vol.3「選手自身が能力を最大限に出す方法を考える」>